2015年8月の読書メーター

2015年8月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2522ページ
ナイス数:438ナイス

思い出のとき修理します 3 空からの時報 (集英社文庫)思い出のとき修理します 3 空からの時報 (集英社文庫)感想
思い出のときシリーズ第三弾。男性読者としてはちょっと恥ずかしくなるぐらい順調な秀司と明里の交際に、本作では横から家族ぐるみの付き合いのある骨董屋の娘が登場したり、亡くなったと聞かされていた実の父との関係が影を差したり。まぁ、いい年した二人なんですから、それぐらいあっても当然かも。時計という軸がぶれないのが本シリーズの良いところです。「心は、過去と未来を行き来できる。」とても優しい言葉です。過去を悔やんだり忘れることは難しいけど、立ち戻ることはできる。それにしても、太一は益々不思議な存在になっていく。
読了日:8月30日 著者:谷瑞恵
珈琲店タレーランの事件簿 4 ブレイクは五種類のフレーバーで (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)珈琲店タレーランの事件簿 4 ブレイクは五種類のフレーバーで (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
喫茶店タレーランを少し離れ、美星さんやアオヤマ氏の登場も控えめで、様々な語り手の目線から語られる(あまり言うとネタバレになるので)、タイトルのとおりちょっとブレイクタイムのような少し変化球的な5編+描き下ろしショートを加えた短編集。とはいえ、タレーランの亡き奥さんとの話以外は、無理やりタレーランの世界観に組み込んだ感も否めないうえ、どうしても1巻がネックになってアオヤマ氏と美星さんの関係も微妙なままだし、アオヤマ氏のキャラも迷走しっ放しなので、これならいっそ違うシリーズを始めた方がいいのかもしれない。
読了日:8月29日 著者:岡崎琢磨
火星に住むつもりかい?火星に住むつもりかい?感想
密告によって標的にされたが最期、魔女狩りさながらに平和警察による拷問と処刑が行われる恐怖によって支配される世界。正義の味方として平和警察に立ち向かう謎の黒ツナギの男の正体とは?正義感と偽善の狭間で揺れ動く心理と、世の中に溢れるあらゆる不条理。どうにもならないことを嘆いてみても変わらない世の中に対して、皮肉めいた揶揄で風刺的に一矢報いようとするのは、如何にも伊坂節らしいと言えばらしいかもしれないが、それにしては余りにも回りくどすぎやしないかい?「人間が人間らしく振る舞えるのは、群れていない時だけだ。」
読了日:8月28日 著者:伊坂幸太郎
有頂天家族 二代目の帰朝有頂天家族 二代目の帰朝感想
相変わらず面白い!如意ヶ嶽を追われ、今や出町商店街裏に半ば引退同然に暮らす赤玉先生こと、如意ヶ嶽薬師坊の息子であり、二代目薬師坊が京都に100年ぶりに帰ってくる。今も昔も変わらぬ天狗と狸の関係のなか、縦横無尽の活躍?を見せるのは、すべては阿呆の血のしからしむるところにしたがう下鴨総一郎の三男、矢三郎。長兄、矢一郎と南禅寺玉瀾の不器用な恋の行方、姿をくらました夷川早雲の企み、謎の幻術師天満屋、二代目と弁天の対決、元許嫁の海星との関係、新たな偽右衛門の襲名など見どころ満載。第三部が待ち遠しい。
読了日:8月23日 著者:森見登美彦
Fate/strange Fake (2) (電撃文庫)Fate/strange Fake (2) (電撃文庫)感想
スノーフィールドを舞台にした偽の聖杯戦争の第2巻。冬木から来た謎の少女アヤカ・サジョウ。オペラハウスに現れたエクスカリバーを持つ円卓の騎士のセイバーの正体とは。ギルガメッシュと互角の戦いをみせるエルキドゥ。正面突破を目論むアサシンを迎え撃つ警察署長オーランドと、そこに現れた教会の監督者であり代行者であるハンザに、アサシンのマスターである死徒のジェスター。そして、現れる二体目のアサシン、ギルを凌駕する謎のアーチャー、そしてさらなる謎の少女。インフレし続けるルール無用の乱戦を制するのは誰なのか。
読了日:8月16日 著者:成田良悟
火花火花感想
漫才師という芸を通じて、笑いとは何か、人を笑わせるということはどういうことなのかを、本当に真剣に、そしてとても純粋に考え抜いた思いが込められている。それが正しい考えのかどうかはわからないし、ここまで突き詰めようとしていることの方が大切で、正しさなんてどっちでもいいとも思える。理屈っぽく売れない芸人の徳永も天才肌で破天荒な先輩芸人の神谷のどちらも、表面に見える芸人又吉とはどこか似ているようで違う。情景が目に浮かぶような独特の言い回しや表現のなか、真樹さんの優しさと笑顔がとても素敵でした。
読了日:8月15日 著者:又吉直樹
Fate/strange Fake (1) (電撃文庫)Fate/strange Fake (1) (電撃文庫)感想
あらゆる願望を叶える「聖杯」を巡り、マスターと召喚された英霊が戦いを繰り広げる聖杯戦争。かつてFateで描かれた第5次聖杯戦争から数年後、アメリカの西部スノーフィールドを舞台に新たな、それも”偽り”の聖杯戦争が始まる。3たび顕現した英雄王ギルガメッシュを始め、6つのクラスに属する新たな英霊たちの戦いは如何なる結末を迎えるのか。バッカーノ!やデュラララ‼︎でお馴染みの成田良悟が描くスピンオフ的Fate新章は、この人気題材をどのように捌くのか、楽しみです。取り敢えず顔見せ的な第1巻ですが、掴みはOKです。
読了日:8月11日 著者:成田良悟
福家警部補の追及 (創元クライム・クラブ)福家警部補の追及 (創元クライム・クラブ)感想
福家警部補の倒叙ミステリーシリーズ第4弾。表紙の全身姿が何だか新鮮。今回は、未踏峰チャムガランガへの挑戦のための資金援助に絡んだ「未完の頂上」と血の繋がらない悪徳ブリーダーの弟から犬を守る姉を描いた「幸福の代償」の中編2作。殺人への動機の納得性と犯行隠匿の緻密性が高まるほど、倒叙ミステリとして犯人が自供に至った際の結末の悲劇性が高まる訳で、そういう意味ではこの2作共に読み応えは十分。「あなたいったい、いつ寝てるの?」「寝ていません」と言い切り、山まで制覇する「眠らずの魔女」にも、犬が苦手という弱点が発覚。
読了日:8月2日 著者:大倉崇裕

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