2013年4月の読書メーター

2013年4月の読書メーター
読んだ本の数:20冊
読んだページ数:7501ページ
ナイス数:534ナイス

永遠の0 (講談社文庫)永遠の0 (講談社文庫)感想
言わずと知れた大ベストセラー。とは言っても最近まで太平洋戦争やゼロ戦を主題とした物語とは知りませんでした。読み進めていくにつれ、宮部少尉がいかに生き、いかに死んでいったのか、そして日本がどのようにして戦争に負け、その後、戦後の日本が辿ってきた道はいかなるものであったのかを突きつけられる物語でした。家族の絆、そして苛烈なまでの戦場を共に戦った男たちの絆と永遠の約束の物語。読み終わっての感想は、只々切ないの一言。
読了日:4月30日 著者:百田 尚樹
新世界より(上) (講談社文庫)新世界より(上) (講談社文庫)感想
アニメは途中で視聴を断念したものの、活字のほうが面白そうだと思って手に取ってみた1冊。複雑に張り巡らされた伏線と世界観が今後どうなっていくのか、今のところはまだわからない。上巻の終盤あたりから、既にアニメで観ていないところに入ってきているので全く先が読めない展開にハラハラさせられる。ファンタジーとしても、とても細かい描写の上に世界観が作り上げられているのが見事。早く続きが読みたい。
読了日:4月29日 著者:貴志 祐介
三匹のおっさん (文春文庫)三匹のおっさん (文春文庫)感想
愉快痛快、まさに現代の捕物帳とも言わんばかりに、三匹の愛すべきおっさんたちが、街のトラブルを斬って捨てる様は、読んでいる途中から爽快感いっぱいでした。都合良すぎる展開もご愛嬌。それぞれ登場人物も魅力的で、素直に楽しんだもの勝ちでしょう。次はどんな事件を解決してくれるのか。続きが楽しみです。中江さんの解説もgoodでした。
読了日:4月28日 著者:有川 浩
シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫)シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫)感想
今回は、シアターフラッグの面々にそれぞれスポットが当てられてました。牧子やゆかり、スズなどの女性陣が目立つが、自ら劇団を運営すべく動き出した黒川やジンなどの男性陣も負けていない。もちろん、茅原のドジっこ萌えも見逃せないところ。千歳&司、ゆかり&小宮山、ズス&茅、そして牧子&巧今後も目が離せない。いよいよ、ラスト公演に向けて動き出した巧達は借金返済なるのか。そして、そのとき司はどうするのか。次巻が楽しみです。マダー マダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
読了日:4月27日 著者:有川 浩
鴨川ホルモー (角川文庫)鴨川ホルモー (角川文庫)感想
予備知識無く読み始めました。タイトルからは全く想像もできない内容ですが、清々しいまでにバカバカしく、決して忘れることはないだろうと確信できました。これほど大真面目にバカなことができる大学生時代って素晴らしい?そして、自らのアイデンティティーに悩む高村がいい味を出しているのと、ある程度予想できたこととはいえ楠木さんはとても良いツンデレで、それに気付かない安倍の”物忌み”とともに胸が締め付けられる青春小説でもありました。
読了日:4月24日 著者:万城目 学
春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)感想
小市民シリーズ1作目。今のところ、小鳩と小佐内さんの過去に何があったのか明かされていないのもあるが、小市民であることに拘るのがとても焦れったい。それが魅力だと言ってしまえばそこまでだが、そうするだけの必然性を今のところ感じないので、余計に二人の関係も含めてもどかしい。続きを読んでみないとわからないが、古典部シリーズの方が好みかな。
読了日:4月21日 著者:米澤 穂信
まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)感想
悲しい過去を背負った便利屋の多田が、不思議な同級生の行天に振り回されながらも、様々な人々のドラマに遭遇するなかで自らの過去に向き合っていく。印象的なセリフが多く、なかでも「不幸だけど満足することはあっても、後悔しながら幸福だということはない(行天)」「愛情とは与えるものではなく、愛したいと感じる気持ちを相手からもらうこと(凪子)」「すべてが元通りとはいかなくても修復することはできる(行天)」。そして「幸福は再生する(多田)」。それにしてもまほろ市は面白そうな街だ。
読了日:4月20日 著者:三浦 しをん
魔王 (講談社文庫)魔王 (講談社文庫)感想
2004年の作品のようですが、何だか未来を暗示しているかのようで、薄ら寒い感じでした。人は時代を変えることが出来るのか、また変わりゆく時代のなかで変わらない強さを持つことが出来るのか。安藤兄弟や詩織ちゃんなど、流されない強さを持った人たちが登場する一方、世間とはいかに扇動されやすい存在なのか。ラストは読者に委ねるものでしたが、少し釈然としない物足りなさを感じました。もう少し書いて欲しかったかも。
読了日:4月17日 著者:伊坂 幸太郎
県庁おもてなし課 (角川文庫)県庁おもてなし課 (角川文庫)感想
文庫で出ていたので購入。完全に名前負けしていた高知県庁"おもてなし課"が、入庁3年目の若手職員の掛水を中心に、県庁に因縁のある観光コンサルタントの清遠や出身作家の吉門たちの協力を得ながら"お役所仕事"を突破していく。そして何より多紀ちゃんの素敵さといったら!方言女子って可愛いですよね。ラストの対談で、掛水が夢を語り、吉門が「お前を主人公にして小説を書くのが一番カッコいい」と語りかけるシーンでは、そこまで辿り着いた2人の友情に思わず感極まって目頭が熱くなってしまいました。
読了日:4月14日 著者:有川 浩
重力ピエロ (新潮文庫)重力ピエロ (新潮文庫)感想
遺伝子の二重螺旋のように、悲しい運命の連鎖を背負った親子の物語。それでも、親子、そして兄弟も決して明るさを失わず、あくまで陽気に、軽やかに生きてみせる。そして、最後にいとも簡単にその遺伝子の輪を飛び越えてみせた父親の恰好良さ。とても素敵でした。異なる場面で効果的に繰り返される重要な台詞も印象的でした。
読了日:4月13日 著者:伊坂 幸太郎
オーデュボンの祈り (新潮文庫)オーデュボンの祈り (新潮文庫)感想
不思議な、とても不思議な寓話のような物語。それでいて、空想的で非現実的かというとそうではなく、そこには城山のような読んでいて胸糞が悪くなるような人間も出てくれば、閉ざされた島の中でも様々な犯罪が発生して、それを私的に処刑する"桜"のような存在が描かれたりする。喋るカカシ「優午」とは一体何者なのか。島に欠けているものとは一体何なのか。突然閉ざされた島に連れてこられた伊藤があちこち歩き回りながら謎が明らかにされていく。まさに大人のお伽話のようなそんなお話。これがデビュー作とは恐れ入る。
読了日:4月12日 著者:伊坂 幸太郎
ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)感想
シリーズ初の長編。そして題材は江戸川乱歩。期待通りの面白さでした。相変わらず豊富な古書の知識による謎解きも、江戸川乱歩の作品と時代背景や小物をうまく活かした見事な展開でしたし、突如として目の前に現れた母親との確執も、物語にうまく効いていると思います。きっと素直に大輔を応援することができない栞子さんファンも多いんじゃないかと勝手に想像しますが、いよいよ物語もそろそろ後半に入り佳境とのことなので、次作が早くも楽しみです。
読了日:4月8日 著者:三上 延
ジェネラル・ルージュの凱旋(下) (宝島社文庫)ジェネラル・ルージュの凱旋(下) (宝島社文庫)感想
田口先生の成長ぶりと、今回は少し控えめだったものの相変わらずの白鳥調査官の安心・安定の切れ味を見ることができました。それにしても、速水先生が圧倒的に格好いい。突如として発生したタンクローリー事故を前に、如月看護師から真紅のルージュを受け取り、唇に紅を引きながら近衛兵軍団を引き連れて出陣していく様は、きっと神や悪魔をも魅了してしまうほどの美しさに違いない。裏で繰り広げられたもう一つの事件、『ナイチンゲールの沈黙』もぜひ読んでみたい。
読了日:4月7日 著者:海堂 尊
ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)感想
ジェネラル・ルージュことICUのスピードスター速水先生が登場。相変わらず、東城医大は個性的で傑出した人材の宝庫ですね。始めて登場した姫宮も、まだその全貌は明らかにしてはいないものの、検視のくだりでエーアイの実施を提案する場面では、速水先生を子供扱いする大物ぶりも見せる。ジェネラル・ルージュの二つ名の由来を披露しつつ、最高の引きで下巻へと続く。
読了日:4月7日 著者:海堂 尊
風の万里 黎明の空(下) 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)風の万里 黎明の空(下) 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)感想
再読。いよいよ3人の少女たちが出会う。様々な人たちとの出会いにより、これまでの自分と真摯に向き合い、これから生きていくべき道を見出していく。和州拓峰の乱のクライマックスで景麒の背に跨り堂々と現れた陽子を前に禁軍がひれ伏す様は何度読んでも鳥肌が立つぐらい痺れる。そして何と言ってもラストで陽子が「人はね、景麒」とやさしく語りかけ、「民の誰もに己という領地を治める王になってもらいたい、そのため他者の前で毅然と頭を上げることから初めてほしい」と伏礼を廃す『初勅』を発する場面は十二国記史上最高の名シーン。
読了日:4月7日 著者:小野 不由美
風の万里 黎明の空〈上〉十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)風の万里 黎明の空〈上〉十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)感想
再読。景王となったものの王としての自信が持てない陽子。海客として才国で現状に不満ばかりを抱いている鈴。元芳国公女としてのプライドを捨てきれない祥瓊。異なる立場と環境にいたはずの3人の少女たちが、図らずも同じように現状を変えるための旅路のなかで、いつしか絡み合うように運命の輪が交錯していく。上巻はそれぞれの我儘や優柔不断、無責任、責任転嫁の応酬に苛々させられるが、ひたすら耐え忍ぶのみ。すべては下巻のため。十二国記はこの物語のためにあるといっても過言ではない。人は変われるのだと教えてくれるはず。
読了日:4月6日 著者:小野 不由美
鬼の跫音 (角川文庫)鬼の跫音 (角川文庫)感想
物語の鍵を握る人物の名前がいずれも”S”で統一されているのと、繰り返し登場する鴉や、虫など以外は共通点のない6つの物語からなる短編集。それでも、全体を通じて独特の共通した雰囲気を醸し出している。いずれの物語も人間の心の奥に巣食う禍々しいばかりの闇を描き出している。それらが表しているのは、人は決して自らの心に住まう「鬼」から逃げ切ることはできないということなのだろう。
読了日:4月6日 著者:道尾 秀介
RDG5 レッドデータガール    学園の一番長い日 (角川文庫)RDG5 レッドデータガール 学園の一番長い日 (角川文庫)感想
深行の成長と泉水子の目覚め。真響、真夏、真澄の3兄弟の関係も大人になるにつれ変わりつつある。高柳の犬姿がはまりすぎて面白い。そんなにお茶目なキャラだったっけ?と思うぐらい愛着が湧いてきて、人に戻ったのが残念でならない。そして最後の泉水子の舞。いよいよ次巻で最終巻なのだが、どう決着を付けるのか。アニメの第1話は駆け足すぎて原作未読者が付いていけたのか疑問でしたが、こちらも早く最終巻の文庫化を希望。
読了日:4月6日 著者:荻原 規子
探偵ガリレオ (文春文庫)探偵ガリレオ (文春文庫)感想
5つの章からなる短編集なので、一つ一つがテンポ良く読みやすい反面、あっさりと解決してしまう感がする。しかしながら、湯川助教授の登場としては申し分なく、この後のシリーズ化や、映像化へと繋がっていったのも納得の出来。面白かったです。巻末の佐野さんの解説も良かった。
読了日:4月6日 著者:東野 圭吾
シャドウ (創元推理文庫)シャドウ (創元推理文庫)感想
明らかにされた真実はそれぞれにとってつらいものであり、ハッピーエンドと呼べるものでもないが、これでも救いのあるほうなのでしょう。かつて心理学をかじったことのある身としては、誰がシャドウ(影=投影)なのかという心理学の概念を利用したトリックは興味深い内容でした。本当にミステリの型にはまらない道尾作品らしさと、決して心地よい読後感であるわけでもないのに何故かクセになるということを改めて実感させられました。それにしても凰介も亜紀ちゃんも小学5年生にしては大人び過ぎてやしませんかね。
読了日:4月4日 著者:道尾 秀介

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