2013年10月の読書メーター

10月は読書の秋らしく結構読むことができました。

やはり一番は図書館戦争シリーズの読破ですが、その他にも「神様のカルテ2」や「舟を編む」や「影法師」も良かったですね~。

それから、「グラスホッパー」から「マリアビートル」の殺し屋シリーズも、仙台~盛岡の旅との相乗効果で忘れられないものになりそうです。

2013年10月の読書メーター
読んだ本の数:22冊
読んだページ数:7482ページ
ナイス数:1247ナイス

キノの旅〈6〉the Beautiful World (電撃文庫)キノの旅〈6〉the Beautiful World (電撃文庫)感想
「彼女の旅」と「忘れない国」と「安全な国」の安全への思い込みに対する皮肉っぷりが印象的でした。安全ってなんだろう。危険とは誰が決めるのか。そして、「祝福のつもり」でのラファの覚悟が切なく、ラストの穏やかな笑顔がとても悲しい。「誓えないと誓います 誓わないと誓えます 誓えないと誓えます」
読了日:10月31日 著者:時雨沢恵一
狼と香辛料 (電撃文庫)狼と香辛料 (電撃文庫)感想
アニメで観たのはもう5年も前になるんですかね。その時から原作を読んでみたいと思いつつ、これまで読む機会が無かったのですが、最近読メでの感想に刺激されて今更ながら読んでみたくなりました。最近作者の方は何かと場外の騒動で騒がしいようですが、本作の面白さはそんなことは関係ないぐらい魅力に溢れています。経済観念を取り入れた商取引を巡る駆け引きも興味深いですが、なんと言ってもホロの魅力に尽きます。アニメの小清水さんがまた良かった。当然、読んでいても、脳内では小清水&福山ボイスで再生余裕です。
読了日:10月28日 著者:支倉凍砂
舟を編む舟を編む感想
辞書がとても大切に紡がれた言葉によって編まれているものなのだということを思い知らされる。「大渡海」の編纂に奔走する馬締君を中心に、松本先生、荒木さん、佐々木さんや、西岡、岸辺たちだけでなく、様々に関係する人達皆がとても素敵に描かれている。大きく分けて西岡視点の前半と、岸辺視点の後半からなるが、辞書作りとは途方もない時間とこれほどまでの労力と情熱が費やされることによって出来上がるのだと思うと、ラストの完成シーンは涙無くしては読むことができない。いずれもう一度、読みたいと思います。前向きになれる素敵な一冊。
読了日:10月26日 著者:三浦しをん
マリアビートル (角川文庫)マリアビートル (角川文庫)感想
グラスホッパーの続編になる殺し屋シリーズ。当然、鯨や蝉は出てきませんが、代わりに蜜柑や檸檬、七尾、木村や王子など、相変らず個性的な殺し屋がたくさん登場。そして、槿や桃、スズメバチなどお馴染みの顔も。勿論、鈴木も相変らずです。取り敢えず、悪趣味なぐらいの王子の悪魔っぷりに胸糞が悪くなりながらも、はやてとこまちという連結されていない新幹線の中の限定空間を舞台にした追跡劇がとにかく面白い。ですが、今何処に誰が居るのか図にしながら読まないと混乱必至かも。盛岡に向かうはやての中で読んだので臨場感たっぷりでした。
読了日:10月25日 著者:伊坂幸太郎
別冊図書館戦争II (図書館戦争シリーズ 6) (角川文庫)別冊図書館戦争II (図書館戦争シリーズ 6) (角川文庫)感想
いよいよシリーズ最終巻。前半は珍しく男同士の物語が中心になっていて、特に緒形副隊長の過去の話は良かったですね。後半は柴崎と手塚の話。それにしても、ここまでの試練を越えないと結ばれることが許されないとは、有川さんも人が悪い(>_<)長かったような読み始めたらあっという間だったような図書館戦争シリーズですが、ともかく玄田隊長にもようやく幸せが訪れそうで何より。全ての登場人物が報われて本当に良かったです。楽しく読めました。
読了日:10月24日 著者:有川浩
別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)感想
前評判から相当甘いであろうという覚悟を持って読み始めましたが、想定以上の甘々ぶりには早々に敗北宣言。女性からすると身悶えするほど楽しくて堪らないのかもしれませんが、男目線からするとこれ以上は堂上教官の名誉のために二人きりの時の言動まではそっとしておいてあげてくれないかと懇願したくなるような心境になりました。まさに手塚目線。でも、それらを含めて楽しく読めてしまうのが、このシリーズのいい所なんでしょうね。それに、ただ甘いだけじゃなくて児童虐待などの社会問題を入れてくるあたりは流石です。二人に幸あれ。
読了日:10月23日 著者:有川浩
図書館革命 図書館戦争シリーズ4 (角川文庫)図書館革命 図書館戦争シリーズ4 (角川文庫)感想
シリーズ第四弾、そして「革命」という名の通り、原発テロを巡って作家の身柄を確保しようとする良化委員会側と図書隊の、憲法問題にまで発展した言論統制との闘いに一定の終止符が打たれる最終巻。そして、窮地に立たされた堂上から託したカミツレに見事に応えてみせた郁の成長ぶりに目を細めずにはいられない。一見荒唐無稽な世界観ながら、現実の報道や国際的なテロの脅威や原発事故を鑑みると、あながちフィクションと笑い飛ばせない気がする。あと、気になるのは手塚と柴崎かな。それにしても、最後の「堂上教官」にはやられました。
読了日:10月20日 著者:有川浩
MOMENT (集英社文庫)MOMENT (集英社文庫)感想
裏表紙にあるとおり、静かに胸を打つ作品。それぞれFACE、WISH、FIREFLY、MOMENTとタイトルが付けられた4章から構成されているが、いずれも死を目前にした人の願いを一つだけ叶えるという必殺仕事人伝説を、ある事情からやむなく請け負っている病気の清掃アルバイトの大学生の神田を中心とした様々な人間模様を描く。話の展開に意外性もあり、この手の話にありがちないい人ばかりが登場するお涙頂戴だけではないところが魅力。一見冷淡に見える主人公を通して、生きることに対する青白い炎のような熱が感じられる良作。
読了日:10月19日 著者:本多孝好
図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫)図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫)感想
シリーズ第三弾。まずは、王子様からの卒業とともに、昇任試験を通して郁と手塚の成長ぶりが描かれる。そして、第三章では、禁止用語の自主規制の問題から捻れた言葉狩りを平然と受け入れている現状への揶揄とも言うべきテーマが取り上げられている。ラストの茨城県展警備における表現の自由を巡る水戸準図書基地での攻防では、玄田隊長の阿修羅のごとくの仁王立ちと、稲嶺司令の壮絶なる覚悟が印象的。司令の退官には、読者としても一緒に敬礼をしたい気分です。なお、本巻でも乙女ゴコロの心意気なるものはしっかりと健在でした。
読了日:10月19日 著者:有川浩
輝く夜 (講談社文庫)輝く夜 (講談社文庫)感想
なるほど。クリスマスイブ=聖夜に、楽しげな世間の雰囲気に馴染めず、不幸せを感じてしまっている女性たちに起きるサンタクロースからのプレゼントのような奇蹟の物語を描いた作品だから、「輝く夜」というタイトルなのですね。五つの短編のいずれも、言ってしまうと、まさに文字どおり奇跡的にいいことが起きてしまうので、ちょっとご都合主義的展開すぎる気もしますが、真面目で正直な人が救われて良かったなぁと実感できる心温まる話だと思います。聖夜にはこれぐらいのことが起きてもおかしくないのかもしれない、と思っていたいですね。
読了日:10月17日 著者:百田尚樹
月と蟹 (文春文庫)月と蟹 (文春文庫)感想
言わずと知れた著者の直木賞受賞作品。5年連続の受賞候補を経て、本作で受賞と相成ったのも納得の内容。やはり小説にしか表現できない心象描写や風情がこの作品には感じられる。少なからず誰もが感じる誰かを妬む感情や、秘密の隠れ家のもつ郷愁など、少年時代の痛々しいまでの危うさと哀しさ、残酷さが、慎一と春也、鳴海の三人を通してとても丁寧で繊細な文章で露わにされる。そして、大人になることの難しさと、そうまでしてなった大人もまたとても弱い存在であるということが、生々しく胸に突き刺さる。とても哀しくて、とても心に残る。
読了日:10月16日 著者:道尾秀介
きつねのはなし (新潮文庫)きつねのはなし (新潮文庫)感想
一体何処までが本当で何処からが空想なのかわからなくなるような、不思議なお話。いつもの愉快な森見作品ではなく、しっとりと湿り気のあるような文調で綴られた、どこか陰のある雰囲気を醸し出す京都を舞台とした怪談のような物語。表題作の「きつねのはなし」を含む4篇に共通するのは、胴の長いケモノや骨董品を扱う芳蓮堂や琵琶湖疏水をめぐる水など。いずれも、どこかにありそうな人の心の陰と、実際にこんなことが起こり得そうと思わせる京都という古都の深い闇を感じさせる作品でした。読後はまるで狐に化かされていたかのような気分。
読了日:10月14日 著者:森見登美彦
キノの旅〈5〉the Beautiful World (電撃文庫)キノの旅〈5〉the Beautiful World (電撃文庫)感想
何だか挿絵などのキノの女子感が増したような気が。相変らず様々な国があり、そして、世界は美しく輝いている。「人を殺すことができる国」は、法律で禁止されていないからといって許されるわけではないということ。「英雄達の国」は戦闘シーンの迫力もさることながら、構成が見事。「予言の国」では予言に振り回される人の愚かしさを描く。特にラストのオチがいい。この巻でも相変らず容赦のなかったキノですが、「病気の国」の最後で珍しく情けをかけるところが良かったですね。そして、プロローグとエピローグの夕日がとても美しい。
読了日:10月14日 著者:時雨沢恵一
模倣の殺意 (創元推理文庫)模倣の殺意 (創元推理文庫)感想
最近やけに書店で平積みや面陳されてプッシュされてるので気になっていました。本格推理物で、登場する小物はフィルムカメラや列車、電話など、今とは違う時代背景を感じさせるものが多いですが、トリックそのものはこれが40年も前の作品なのかとびっくりさせられます。いわゆる叙述トリックで、大きく分けて2つの仕掛けが施されているのですが、1つめは確証はないまでも何となく察せられるのですが、さすがに2つめは気が付きませんでした。ですが、ちょっとややこし過ぎましたかね。あと、話として面白みがもう一つなのが残念なところです。
読了日:10月14日 著者:中町信
秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)感想
本当に罪作りな2人です。いたいけな生贄の子羊のように小佐内さんの前に引きずり出された瓜野くんが(自身を過大評価し思い上がったうえでの自業自得だとはいえ)憐れでなりません。やっぱり人間失格気味というか、自意識過剰であくまで小市民ぶろうとする常悟朗と小佐内さんは、この2人でいるのが次善の策なのでしょう。よって、もうしばらく、2人の物語は続きそうです。なお、この物語においては、犯人探しは本題ではありません。それにしても、一年かけてこの仕打ちとは、小佐内さんの人でなしっぷりは本当に容赦無い(;^_^A
読了日:10月11日 著者:米澤穂信
秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)感想
小市民シリーズ第三弾。戦略的互恵関係を解消する原因となった夏の事件から、季節は秋に移り、常悟朗と小佐内さんの関係にも徐々に変化が…と思いきや、冒頭から2人にそれぞれ彼氏、彼女ができてしまう展開にまずビックリ。市内で頻発する放火事件を追って、新たに小佐内さんと付き合うことになった、小市民に対する当て馬としてもかなり暴走気味な突っ走りぶりの新聞部員の瓜野と、実は夏の事件と関係して陰で暗躍しているかもしれない小佐内さんと、それを追う常悟朗の三つ巴の様相で下巻へと続く。さてさて、どうする小市民。
読了日:10月10日 著者:米澤穂信
珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る (宝島社文庫)珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る (宝島社文庫)感想
1巻のラストには納得がいっていないものの、再び美星バリスタに会えるのを楽しみに手に取ってみましたが、ちょっと美星さんキャラ変わってない?アオヤマくんもしれっと何も無かったかのようにタレーランに出入りしてんじゃないよ。勝手に美星さんに近づいたら承知しないぞ。ちょ、ちょっと美星さんも簡単にデレないで下さいよ。(以下自重)相変らず珈琲薀蓄ネタを織り交ぜた日常系謎解きパートはほんわかと楽しめるのですが、ラストにかけての大仕掛けは強引で無理がある。また、タイトルに込められた意味が美星さんにとって悲しすぎて辛い。
読了日:10月9日 著者:岡崎琢磨
神様のカルテ2 (小学館文庫)神様のカルテ2 (小学館文庫)感想
前作と同じく、いやそれ以上に静かな、それでいてとめどなく押し寄せる波のような力強い感動が胸に押し寄せてくる。またそれと同時に、理不尽な状況に置かれた医療現場の声にならない叫びと、そこで必死に踏ん張る一止たち医者への畏敬の念を感じざるを得ない。過酷な環境にありながらすべてを肯定しようとする古狐先生たちの寛容さにはただただ敬服するばかり。そして、そこに訪れるまさに後ろから不意に殴られたと言うしかないような運命のいたずらにはただ涙するしかない。「良心に恥じぬことだけが、我々の確かな報酬だ」の言葉を胸に刻もう。
読了日:10月7日 著者:夏川草介
グラスホッパー (角川文庫)グラスホッパー (角川文庫)感想
自殺屋の鯨とナイフ使いの殺し屋の蝉、妻を理不尽に失った鈴木の三人の視点が次々に切り替わりながら、押し屋の槿をめぐって物語は進んでいく。因みに押し屋とは、対象を後ろから押して車などに轢かせて殺す殺し屋のことらしい。本作品でも、神様のレシピによる運命論は健在で、複雑に絡み合った糸のようにそれぞれの運命が交錯する。そして、特に人が死ぬシーンの描写が生々しくて痛々しい。「世の中の不幸の大半は、誰かが高をくくっていたことが原因なんだってば。」という鈴木の亡き妻の台詞が印象的。
読了日:10月6日 著者:伊坂幸太郎
影法師 (講談社文庫)影法師 (講談社文庫)感想
刎頸の契りを交わした勘一と彦四郎の、時代の流れに翻弄される二人の友情を描いた時代物。下士の身分から国家老にまで上り詰めた勘一と、剣技に秀で、上覧仕合で栄誉を得ながらも不遇な末路を辿った彦四郎の運命。読み進めるうちに、全てを捨てて影に徹した男の覚悟と生き様が浮き彫りになるにつれ、グッと胸に込み上げてくるものを抑えきれません。決して文章が巧みなわけではないですが、背表紙に「永遠の0に連なる代表作」とあるとおり、ツボを抑えた演出と、見る人によって異なる人物像を最終章でタイトルどおりに収斂させる構成は見事です。
読了日:10月4日 著者:百田尚樹
図南の翼 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)図南の翼 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)感想
潮文庫発売記念で再読。あ〜やっぱり新しいシリーズで揃えて買いたくなるなぁ。それはさておき、十二国記において景王陽子を巡る一連の物語が一つの本流であるとするならば、それに勝るとも劣らないもう一人の主役は間違いなく本書において僅か十二歳にして登極すべく蓬山を目指して旅立った珠晶であることに間違いない。年齢なりの幼さもあり、ばかなこともするけれども、自らの過ちと愚かさを認めることができる。目の前に現れた麒麟を叱り飛ばすのもいかにも珠晶らしくて清々しい。更夜の登場も嬉しい限り。最高の一冊です。
読了日:10月2日 著者:小野不由美
戦争の法 (文春文庫)戦争の法 (文春文庫)感想
いかんせん文章が晦渋すぎる。(「晦渋」とは、たまたま昨日Qさまを見ていて始めて知った言葉ですが、「言葉や文章がむずかしく意味がわかりにくいこと。また、そのさま。」の意だそうです。そんな言葉がまさに本書の中にタイムリーに出てきたことにビックリです。)ちょっと前から気になっていた作家さんだったので、図書館で手にとってみましたが、貸出期間で読み終われないほど苦戦しました。難解で重量感のある文章に圧倒され、ページを捲る手の重いこと。本当に疲れました。
読了日:10月1日 著者:佐藤亜紀

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