2014年2月の読書メーター

空飛ぶ広報室やモンスター、まほろ駅前狂想曲、ボックス上下、暦物語など、図書館に予約していた本がまとめて借りられたことや、待ちに待ったビブリア古書堂の新刊が出たこともあり、前半は非常に充実した読書ができていてたのに、その反動のように後半全く読めなかったなぁ・・・でも読んだページ数がちょうど4000pでちょっと嬉しい。

2014年2月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:4000ページ
ナイス数:692ナイス

一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ- (講談社文庫)一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ- (講談社文庫)感想
主人公の新二の独白系の文章なので、思いっきり若さや気持ちのコントロールが効かない感じがとてもよく表されています。才能溢れる兄を追いかけ続けたサッカーを諦め、同じように才能を持つ友人の蓮と一緒に始めた陸上という競技。中学時代ですが同じように100、200走、400リレーを走っていたため、レース前の気持ちとか、予選と決勝が何故か同じように走れないとかの経験が懐かしく思い出されます。自分は最後まで1走担当でしたが、特に4継リレーの、みんなで一つのバトンを繋いでいく感じが好きです。青春ですね。
読了日:2月21日 著者:佐藤多佳子
陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)感想
改めての人物紹介的に一人ずつ事件というか騒動に巻き込まれてしまう第一章がとても面白い。第二章からもいつもの通りの銀行強盗から、何故か人助けに走ってしまうのも含めて安定した面白さ。伏線というかもはや前フリとしか思えない数々のネタを最後まできちんと回収する丁寧さも相変わらずです。田中さんのドラえもん的道具があれば何でもできてしまうんじゃない?と読者が見透かしてしまうかもしれないことまでお見通し。いつもの広辞苑的解説は、新潟には悪いですが「-のガタって字が書けないので年賀状出さなくてもいいですか」で笑いました。
読了日:2月16日 著者:伊坂幸太郎
ボックス! 下ボックス! 下感想
努力する才能が天才に勝る、という単純なストーリーではなく、最後まで稲村とどのような決着がつくのか、果たしてカブちゃんとユウちゃんのどっちが倒すのか目が離せない展開でした。惜しむらくは、語り手の一人である燿子先生の感情的な部分が少し出過ぎていてちょっと邪魔に感じてしまったことですかね。井手や野口、飯田たちの初勝利のシーンに勝つことの素晴らしさを実感。「勝利が尊いものでなければ誰が苦しい練習なんかするもんかー。」の言葉が印象に残りました。そして、ボクシング部の守護天使となった丸野の笑顔がとても素敵でした。
読了日:2月15日 著者:百田尚樹
キノの旅〈8〉the Beautiful World (電撃文庫)キノの旅〈8〉the Beautiful World (電撃文庫)感想
‐想いは 正しく伝わらない‐口絵の「道の国」と「悪いことはできない国」、そして「歴史のある国」「愛のある国」「ラジオな国」「救われた国」の4つの国から、今回は何と言ってもプロローグ「渚にて旅の始まりと終わり」からエピローグ「船の国」へと続く。再び船の国で出会ったキノとシズ様、と陸とエルメス。キノとシズ様の対決と、船の国でシズ様のお世話係となった少女のティーと黒服の指導者たちに隠された謎。シズ様とティーがその後どうなったのか、プロローグをどう解釈すればいいのかな。また、今回のあとがきには完全に騙されました。
読了日:2月15日 著者:時雨沢恵一
暦物語 (講談社BOX)暦物語 (講談社BOX)感想
阿良々木暦の名のとおり、春休み明けから暦に起きた一連の出来事とそれを取り巻く彼女たちとともに過ごしてきたこの1年間を1月ずつカレンダーに添って振り返るお話。こんなに都合よく一人ひとりがピックアップできるほど数々の出来事や時系列の辻褄が合っているのかどうなのか、もはや確かめる気にはさらならならない。そして、登場する12人の彼女たちのそれぞれの「道」の在り様をテーマにした物語とも言える、とか何とか無理に意味合いを考えるのも無粋なのでやめておこう。ラストの衝撃にどういう後日談というか、オチがつくのか楽しみです。
読了日:2月11日 著者:西尾維新
ボックス! 上ボックス! 上感想
単なる青春もの成長ストーリーとすることなく、そしてボクサーの拳は凶器だから決して喧嘩の道具として使ってはいけないの綺麗事を言わず、若者らしく自分の欲望とプライドのためにボクシングに打ち込む鏑矢と優紀の二人の青臭い描き方に逆に好感を持ちました。今回は、鏑矢に危ないところを助けられた後、偶然ボクシング部の顧問になることとなった高津先生を聞き役として、ボクシングに関する薀蓄は相変わらず多めですが、さほどの不自然さは感じませんでした。まだまだ強くなりそうな優紀と鏑矢のこの後が気になります。
読了日:2月9日 著者:百田尚樹
ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)感想
前巻で五浦くんから想いを告げられた栞子さんがどう受け止めるのか。栞子さんが返事をためらい思い悩むその理由は。今回は、古本を扱う雑誌の「彷書月刊」、手塚治虫の「ブラックジャック」、寺山修司の「われに五月を」を題材とした三つのエピソード。登場人物の心境と読者の疑問を章間に挟んだ断章で語る構成が上手い。謎解きは相変わらずの冴えをみせるが、裏で手を引いているお母さんの手のひらで踊らされている感じ。ラストは気になる終わり方で早くも次作が気になる。エピローグに一瞬えっ?てなってからプロローグを読み返してニヤリ。
読了日:2月8日 著者:三上延
陽気なギャングが地球を回す (ノン・ノベル)陽気なギャングが地球を回す (ノン・ノベル)感想
ちょうど2時間ぐらいの映画を見終わったような読後感。しかもキャラも魅力的で展開もサスペンスフルなうえ、会話もウィットに富んでいてかなり面白い。嘘を見抜く能力を持つリーダーの成瀬、嘘つきで演説好きな響野、動物をこよなく愛するスリの達人の久遠、精密体内時計を持つドライバー役の雪子の四人の銀行強盗グループが巻き起こすハラハラドキドキのストーリーに一気読みしてしまいます。神崎率いる現金輸送車ジャック犯と裏をかきあう駆け引きや数々の伏線の利用も流石です。エンターテイメント作品として抜群の面白さです。
読了日:2月8日 著者:伊坂幸太郎
まほろ駅前狂騒曲まほろ駅前狂騒曲感想
三たび帰ってきた多田&行天コンビ。今度は、HHFAという無農薬野菜を扱う怪しい団体との騒動に巻き込まれてしまう二人に凪子さんから預かることになったはるちゃんを加え、行天の過去の謎、多田と亜沙子の関係、お馴染みの曽根田婆ちゃんや星たちや由良公、そして大活躍?の岡さんなど非常に盛り沢山の内容です。曽根田婆ちゃんへの死ぬまで忘れないとの言葉、同じような境遇に悩む裕弥に正しいと感じる自分を疑え、といった行天の台詞がとても素敵で印象的でした。思わず吹き出してしまったり、目頭が熱くなったり、まほろファンなら必読です。
読了日:2月7日 著者:三浦しをん
空飛ぶ広報室空飛ぶ広報室感想
図書館へ予約してからはや10ヶ月。ようやく読むことができました。が、待った甲斐があったというもんです。有川さんお得意の自衛隊ものですが、今回の舞台は一見地味な裏方の広報室。しかし、ブルーインパルスのパイロットを事故によって諦めた空井を主人公に鷺坂室長を初めとする個性的で魅力的な面々と、帝都テレビのディレクターの稲ぴょんリカを交え、広報という視点から自衛隊とマスコミの本質を刺すようなエピソードの数々がとても面白い。各キャラ毎の掘り下げも丁寧で一人ひとりが生き生きしています。最後の松島基地には泣かされます。
読了日:2月5日 著者:有川浩
モンスター (幻冬舎文庫)モンスター (幻冬舎文庫)感想
非常に醜い容姿からモンスターと呼ばれた女の執念の物語。男とは何て愚かな生き物なんでしょう。女性の美に対する執着には残酷な現実を痛感します。美容整形に関する非常に詳細な調査のうえに書かれたと思われるだけに、未帆(和子)が整形を繰り返し次第に美しい容姿を手に入れていく様子がとてもリアルに描き出されていました。出てくる男のだらしなく、さもしい姿に、男性読者として読んでいて身につまされるものがありました。そんななか、唯一男前っぷりを見せてくれた崎村さんが救いです。
読了日:2月2日 著者:百田尚樹

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