2013年8月の読書メーター

八月の読書はすべてわれらがアイドル、八九寺真宵に捧げます。

2013年8月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3855ページ
ナイス数:466ナイス

折れた竜骨 下 (創元推理文庫)折れた竜骨 下 (創元推理文庫)感想
特殊設定によるミステリとファンタジーの極めて高度な融合を成し得ている本作品。それは言うまでもなく米澤さんの物語の語り手としての懐の深さを表している。現実の十二世紀の中世の舞台に、独自の魔法の論理を持ち込みながら、あくまで舞台設定上のルールに乗っ取ってフェアに謎を解き明かしていく。しかも、それだけではなく、呪われたデーン人の襲来から撃退までは手に汗握るほどの緊迫した戦闘描写が繰り広げられる。これで、面白くない訳が無い。「折れた竜骨」に導かれ、再びアミーナとニコラが出会う日は来るのだろうか。
読了日:8月31日 著者:米澤穂信
折れた竜骨 上 (創元推理文庫)折れた竜骨 上 (創元推理文庫)感想
いつもと違って中世を舞台とし、剣と魔法のファンタジー要素満載ながらも、ミステリーの王道をいくかのような米澤さんならではの作品。舞台設定も詳細まで凝っていて、ファンタジー好きでも納得の世界観に、登場人物もそれぞれ個性があって魅力的なうえ、緊迫感漂う犯人探しの謎解きが加わって、ページを捲る手が止まらない。この勢いで下巻まで一気に読破したい。
読了日:8月31日 著者:米澤穂信
夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)感想
相変わらずそれぞれの悪癖を治せない小鳩常悟朗と小佐内ゆきが小市民の星を目指す小市民シリーズ第2弾。この夏の運命を左右する<小佐内スイーツセレクション・夏>によって2人にもたらされた夏休みは、一見とてもごく自然で健全な男女の楽しいひと時であったように思えたものの、その裏に隠された「狼」の狙いは、それを持って2人の関係を解消するに足るものでした。この後の秋期で2人の関係がどう描かれるのか気になります。それにしても、夏期限定トロピカルパフェはとても食べられそうにありません。
読了日:8月25日 著者:米澤穂信
恋物語 (講談社BOX)恋物語 (講談社BOX)感想
物語シリーズ、セカンドシーズンも本書をもっていよいよラストを迎える。囮物語で神様となってしまった千石撫子に卒業式に殺されてしまう運命の阿良々木暦と戦場ヶ原ひたぎを救うべく、撫子を騙す役目を請け負い、語り部役を務めるのはまさかの貝木泥舟。それにしても、本当に嘘つきしか出てこない物語。いいように踊らされて、何処までが本当で何処からが嘘なのか、結局煙に巻かれた気分。ファイナルシーズンはどうなることやら気になるところではあるが、取り敢えず一旦ここで小休止。そして、人はいくらでも買い直せる、とりあえず。
読了日:8月23日 著者:西尾維新
囮物語 (講談社BOX)囮物語 (講談社BOX)感想
ただ可愛いだけの千石撫子ちゃんは、語り部としてはなかなかに読者をイラつかせる。そんな撫子をバッサリと容赦無く切り捨てる月火ちゃんの株は下がるどころか、上がる一方です。この物語は、嫉妬から狂ってしまった千石撫子の、壮大な現実逃避による秋の夜長の捏造の物語でした。それにしても、ラストに登場する戦場ヶ原さんはカッコいいです。物語シリーズセカンドシーズンもいよいよ恋物語を残すのみとなりました。どんな卒業式になるのか楽しみです。
読了日:8月19日 著者:西尾維新
鬼物語 (講談社BOX)鬼物語 (講談社BOX)感想
暦と出会う400年前、かつて鬼であるのに神を演じてしまったがために「くらやみ」に狙われることとなった忍の前に再び現れたそれが狙うものとは?相変らず過変態ぶりは健在であるにも関わらず、少女と童女と幼女とキスしてしまう阿良々木さんのモテモテぶりは半端ない。傾物語と対をなすかのように、実はこの鬼物語の主役は、みんなのアイドル、愛すべき八九寺真宵。ラストのハ九寺との別れに言いようの無い喪失感を味わっている。
読了日:8月15日 著者:西尾維新
シティ・マラソンズ (文春文庫)シティ・マラソンズ (文春文庫)感想
世界陸上の女子マラソンを見ながら、なぜ人はこんなにも走り続けるのだろうと思う。走り終わった後の何とも言えない充実した笑顔を見ると、やはり、人の根源的な欲求なのだろうか。3人の作家による、ニューヨーク、東京、パリのいずれも有名なシティマラソンを舞台としたショートストーリー集。個人的には、近藤史恵さんのパリの話「金色の風」が一番良かった。この勢いで、無性に走り出したくなる、なんてことはまるでなく、明日からも怠惰に過ごすことでしょう。でも、最近ちょっと体重が増え気味なのが気になるところなのです…
読了日:8月12日 著者:三浦しをん,近藤史恵,あさのあつこ
花物語 (講談社BOX)花物語 (講談社BOX)感想
悪魔の「猿の手」を左手に宿す神原駿河が語り部となる、阿良々木暦も戦場ヶ原も羽川も卒業して居なくなった直江津高校を舞台とした物語。。相変わらず阿良々木先輩はここぞという場面で登場&男前な台詞満載すぎる。駿河の願いどおり、かつてのライバルである沼地蠟花と駿河の1on1の息を飲むような勝負は本作最大の見所であり、とても楽しめました。願いは叶っても叶わなくても、自分が叶えるものなのだから、願いを願うこと、それ自体に既に価値があるのだ。
読了日:8月10日 著者:西尾維新
傾物語 (講談社BOX)傾物語 (講談社BOX)感想
物語シリーズセカンドシーズン。八九寺が怪異となった世界と、そうならなかった世界を繋ぐのは、やはり暦と忍の絆ということか。タイムトラベルではなく、いわゆるタイムリープにより事故に遭うことなく成長した八九寺から受け取った忍野の手紙により真相が明かされるシーンはヤバイ。ルートAとルートXのキスショット同士の会話は、ちょっとした違いがここまで2人の運命を分けてしまったのだと思うとなんだか泣かせる。暦と八九寺のラストシーンの会話に救われる。2人が出会えて良かった。
読了日:8月9日 著者:西尾維新
【映画化】完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)【映画化】完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
何処までが夢で何処からが現実なのか、センシングと呼ばれる遷延性意識障害者とのコミュニケーションを通して描かれる過去と現在の狭間で繰り返し描写されるリアルな南の島の風景と、対比的な弟の自殺願望を心象化したショッキングな描写に、読者は巧みに誘導されて行く。惜しいのは、恐らくそうであろうという結末(真相)が途中で想像できてしまうことかな。しかし、タイトルからはこのような話とは全く思わなかった。そういえば、最近映画化されてたようですが、あちらはどんな内容だったのか気になりました。
読了日:8月5日 著者:乾緑郎
カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)感想
ギリギリのところで最悪の方向へ転がってしまいかねない不安感を常に感じさせられながら、最後に爽やかに回収したかと思いきや、さらにそこからどんでん返しを食らうとは。見事にしてやられました。確かに詐欺に手を染める登場人物たちの心境に共感は得られにくいかもしれませんが、このとてもよく出来たマジックショウのような物語のごとく、人生をありのままに受け入れてみようと思えるかもしれません。あと、途中でテツさんから語られる親指のエピソードが素敵です。
読了日:8月5日 著者:道尾秀介
葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)感想
なるほど・・・こういうことでしたか。叙述トリックとはいえ、少し騙そうという気満々であざと過ぎやしませんかね?という気分ではありますが、すっかり騙されたのは事実なので、これは単なる負け犬の遠吠えなのであります。しかしながら、ラストはトラちゃんの男気は結構なんですが、蓬莱倶楽部との決着まで描いてもらいたかったなというのが正直な感想です。
読了日:8月4日 著者:歌野晶午

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